京都新聞エコロジー35

2017年9月1日付

孤立する米国 歩み寄る日は

 6月初めにアメリカのトランプ大統領がパリ協定からの離脱を発表しました。温室効果ガス第2の排出国であるアメリカの離脱は、少なからず国際協調が求められている地球温暖化問題への影響が心配されます。トランプ大統領としては、国内の石炭産業の保護・雇用確保や巨額の途上国支援費用の拠出免除など経済効果と合わせて、選挙中の公約を果たし支援者の信頼を回復したいとの思惑があったものと思われます。そして、各国へは公平性を基礎とした新たな協定(ルール)への再交渉を求めています。

 これに対して、アメリカ国内では、州や都市、民間企業の中でパリ協定支持の表明が相次いでいます。さらに7月にドイツで開催された20カ国・地域(G20)首脳会合ではアメリカ以外の国は、すべてパリ協定の順守でまとまりました。どうやら、アメリカ政府は環境問題では孤立状態になりつつあるようです。パリ協定の離脱が正式に認められるのは2020年になってからですので、それまでにアメリカもパリ協定に復帰して、同じスクラムをくんでほしいものです。

 

                 (高月 紘・京エコロジーセンター館長)