- 作者名(ペンネーム):
ハイムーン(High Moon)
- 本名:高月 紘(たかつき ひろし)
- 環境マンガ家(日本漫画家協会会員)
- 京エコロジーセンター前館長
- 京都大学名誉教授
- 専門:廃棄物工学、環境教育
当初、大型クルーズ船におけるコロナ感染問題で日本でも水際作戦が重要視されました。しかし、コロナ感染は水際で阻止することはできず、日本国中にまん延することになりました。そこで、各個人には、とにかくマスクでの予防が呼びかけられました。これは、水際ならぬ鼻際作戦と言えるかもしれません。
新型コロナの流行で多くの人が自宅での感染対策を余儀なくされました。そんなわけで、家庭ごみの中には、マスク、消毒用アルコール、使い捨ての手袋が増えてきました。また、巣ごもりの関係で、テイクアウト商品やレトルト食品の増加も顕著です。これは、ある意味で新型災害(コロナ)ごみと言えるかもしれません。
新型コロナウイルスによるパンデミックで世界中の生産、輸送がストップして、資源やエネルギーの消費量が大幅に削減されました。その結果、環境負荷は大きく減少しました。経済面での損失は莫大なものがありますが、環境面で見れば顕著な効果が見られたということです。そんなわけで、これからの環境政策では、過剰な経済の活動をいかにコントロールしながら、環境負荷の低減を図るかが問われることになります。
これまで地球は温暖化、オゾン層の破壊、酸性雨などの環境問題で苦しんできましたが、ここにきて新型コロナウイルスによるパンデミックで新たな環境問題を抱えることになりました。これは、ウイルスという微生物による地球規模の感染問題です。したがって、これからは各国とも従来の地球環境問題に加えて、感染症対策に取り組まなくてはなりません。
コロナ対策で各地で緊急事態宣言が発せられ、みんな巣ごもり生活を余儀なくされています。できるだけ、人と人の接触を避けることが求められています。まるでみんなが自宅というオリの中に隔離された状態になっています。しかし、人間という動物は人同士のコミュニケーションがなくては息苦しくなります。ストレスが溜まります。その意味で、コロナはまさに人間の生活のあり方に問いかけをしているようです。
コロナ対策でよく言われる「新しい生活様式」すなわち、①不要不急の外出自粛、②3密回避、③テレワークの推進のどれもが環境負荷の低減につながっています。その意味では、コロナ対策はエコ対策でもあります。逆に言えば、これまでの私たちの生活様式は環境負荷を増大するものばかりでした。この機会にエコな取り組みで「新しい生活様式」を見直したいものです。
今回の新型コロナウイルス感染症の発生メカニズムについては諸説があるようですが、これまで流行したウイルス型感染症であるエボラ出血熱、サーズ、マーズなどの例からしても、どうやら野生動物がその仲介役を担っていそうです。そこで、研究者の中には「人間があまりにも自然破壊をするので、追い詰められた野生動物がウイルスを使って人間に反撃を試みているのでは・・」という説を唱える方もおられます。いずれにせよ、これからは人間、動物、生態系のバランスのとれた共生のあり方が問われることになりそうです。
我々は、これから、アフターコロナの社会にどのように進めばよいのでしょうか?当然ながら、これまでの資源やエネルギーの浪費型の社会から脱却することが求められます。そこで、注目されるのがグリーンリカバリーです。すなわち、環境重視型の復興計画です。具体的には、脱炭素社会、SDGsの推進、生態系の保全、感染症対策を見据えた公衆衛生の充実などのキーワードが挙げられます。これらのグリーンリカバリーを行うことによって、まさに持続可能な社会が実現することができるものと思われます。
人類が地球上に登場する以前から、細菌やウイルスなどの微生物はこの地球に存在していました。まさに地球は「細菌の惑星」であり「ウイルスの惑星」であったのです。そこに、われわれ人間が侵入してきたのです。したがって、人間は当然ながら細菌やウイルスと共存することが求められます。これからも感染性の微生物を完全に排除して生き延びることは不可能と思えます。いかに、微生物を含めた生態系と共生していくかを考えなければなりません。
コロナが一時期収束が見えた頃にGo ToトラベルとかGo Toイートなどコロナ前の賑わいを取り戻すべくキャンペーンが張られました。結果的には、これがさらなるコロナの感染拡大につながりました。コロナ前の経済活動に戻りたい気持ちはわかりますが、コロナ禍がもたらした様々な社会的なひずみ(格差、貧困など)への反省と改善に向けた取り組みが求められるべきです。
新型コロナウイルスの出現で人間世界は右往左往しているわけですが、現在、コロナウイルスでも「デルタ株」がさらに脅威を奮っています。次には、どんなウイルスが出現するのか、予測もつきません。いずれにせよ、我々、人類はこれからもウイルスなどの微生物との戦いは続くものと思われる。
新型コロナウイルスは次々と変異株を発生させ猛威を振るっています。イギリス型、南アフリカ型、インド型など、いずれも従来のものより、感染力が強く、急速に感染拡大につながっています。一方、迎え撃つ人類のワクチンは果たして、これらの変異株にうまく対応できるでしょうか?いずれにせよ、われわれ、人類は今後とも感染症ウイルスとの戦いはまだまだ続くものと思われます。
現在、世界中でワクチンの接種が始まっています。この時、注射器、手袋、ガウン、フェイスガードなどの使い捨ての医療器具が大量に発生します。これらのものは感染性の廃棄物であり、またプラスチック製の廃棄物でもあります。したがって、現在私たちが、特に注意をしなければならない廃棄物の複合的な汚染物と言えそうです。適切な対応をしなければ、別の意味で、ワクチンの環境面での後遺症になるかもしれません。
いよいよオリンピック・パラリンピック東京大会が近づいてきました。日本国民の多くは東京大会の中止か延期を望んでいるようですが、政府や組織委員会はむりやり開催を予定しているようです。そして、どうやらコロナ対策を競う大会になりそうです。はたして、オリンピックの精神に基づいた大会と言えるでしょうか?
このところ毎日のテレビニュースではコロナの感染者数のグラフがよく表示され、現在第何波の波が押し寄せているところですとの解説がなされています。最初の頃は緊張してグラフの推移を見守っていましたが、何度も緊急事態宣言がなされると我々一般市民は何だかコロナ疲れで、「また波が来たの?」という感覚です。環境問題もしかりで、一般市民に常に緊張感をもって行動してもらう難しさがよくわかります。
40億年前に地球ができて、最初は何も生物がいなかったのですが、やがて海の中に微生物が出現し、やがて、古代生物も誕生して、陸上にも棲息するようになるわけですが、長い期間、今で言う細菌やウイルスなどの微生物の時代があった訳です。すなわち、地球は「ウイルスの惑星」であり、「細菌の惑星」であったのです。そこへ、最近になって人類なる動物が出てきて、わがもの顔で地球の生態系にダメージを与えているのである。ある学者に言わせると、今回の新型コロナによる感染症は、ウイルスによる人類への逆襲かもしれないと言う。いずれにせよ人間はもう少し謙虚に、微生物を含めた生態系と共存することを考えなくてはならない。
最近は、気候変動に伴い、どの地区でも、洪水や土砂災害などに関するハザードマップを作成して、災害の備えを住民に呼びかけている。さらには、災害が差し迫った場合には、特別警戒情報を発するなどの体制をとっている。一方、新型コロナウイルス対策では、地区別に感染者の急増や医療体制のひっ迫度に応じて、非常事態宣言を発して、感染防止の体制をとっている。そして、感染者の多い地区からの人の移動に関して注意を呼び掛けている。いわば、これはコロナハザードマップに相当する。そして、特別警戒情報の場合も非常事態宣言の場合も5段階のレベルを設定し、レベルに応じた対策が取られる。そんなわけで、災害対策もコロナ対策も何だか似たようなリスクマネージメントになっているなと感じて漫画にしてみました。
おわり
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