ゴミック連載の一番最初の作品です。1982年10月のことです。当時、家庭ごみ中に急激に食べ物の容器包装材が増えてきたので、私たちのライフスタイルが変わってきたことを少しオーバーに表現してみました。
この漫画は筆者が乾電池の水銀問題に取り組んでいるときに描いた漫画である。したがって、テーブルの下で筒型乾電池のキリギリスが「スイギーン」「スイギーン」と鳴いているのである。環境問題はわれわれ世代だけの問題ではなくて、将来の世代の問題でもある。環境倫理でいう「世代間倫理」を表す漫画として活用していただきたい。
この漫画は作者が気に入っている漫画の一つである。自然と共生してのんびり暮らしている人に、不動産屋さんが「この土地を売って、大金を手に入れば楽に暮らせますよ!」声をかけている場面である。まさに余計なお世話である。価値観の違いが漫画としてのユーモアを生み出している。この種の漫画を数多く描きたいものである。
この漫画では、人間以外の動物や植物が意見を述べている場面が描かれている。漫画の世界では、人間以外のものがしゃべることも簡単に表現できる。このことは、動物や植物の気持ちを代弁して作者が語っているともいえる。いずれにせよ、漫画は常識外の表現方法が沢山あるメディアである。ちなみに、この漫画で「鳥が持っているものは何ですか?」とよく聞かれるが、あれは缶飲料を6パックまとめるプラスチック製のリングである。あのリングが海鳥の首や足に絡み付いて大きな被害をもたらしているので自然保護団体の間では問題となっていたのである。
この漫画のキャプションは「塵(じん)類の誕生」で、日本語の言葉あそびがなされている。したがって、外国人にはあまり受けないかなと思っていたが、意外にも海外の読者からも人気の高い漫画である。「人間はごみを造る動物である」というストレートなメッセージがわかりやすいと評価されたと思われる。
われわれ人間は地球の資源やエネルギーをふんだんに使って生活している。地球を銀行に見立てると、銀行から預金である資源やエネルギーを引き出し続けてることになるが、今や預金も底を尽き節約を考えなくてはならない時代である。
家庭ごみの細組成調査の際、台所のごみの中に賞味期限切れで捨てられた食料品が多数見つかる。そこで、「期限」と「起源」をひっかけて描いたのがこの漫画である。最近は家庭の冷蔵庫も大型化が進み、沢山の食料品が冷蔵庫の中に詰め込まれ、気が付いてみると奥の方から賞味期限切れの食料品が出てきて、そのままごみ箱へというケースは珍しくない。
最近よく言われる「持続可能な社会」とはどんな社会であろうか?なかなか具体的な社会像のイメージが提示されない中で、筆者なりにイメージして描いてみたイラストである。すなわち、可能な限り地産地消で食料を確保しながら、エネルギーも再生可能なエネルギーを優先し、日常生活用品も使い捨てに頼らないライフスタイルをめざす社会である。このイラストもよく活用される。
イギリスで漫画展を開催したところ、何故か、この漫画が人気を博した。その訳を考えてみると、イギリスでは古くからの慣習で「午後の紅茶(アフターヌーン・ティ)」の時間を大切にしていたが、最近では、そんな習慣がすたれ、時間に追われる日々となったことに対して、反省の意味を込めて共感を得たのではないかと考えられる。この漫画では、お茶の時間は短縮されたが、その裏では沢山の資源とエネルギーが費やされていることを伝えたい。便利さの陰には常に資源やエネルギーの浪費がある。
われわれは現在、地球から資源やエネルギー(化石燃料)を取りだし、文明を謳歌している。このイラストでは地球と人間社会が微妙なバランスを保っている状況を示している。しかし、しだいに地球の重さは資源やエネルギーの採掘で軽くなり、一方の人間社会では資源やエネルギーによる負荷がかかり重くなりつつある。はたして、いつまでこのバランスを保つことができるだろうか?現代社会はまさにこのイラストのようにゆらゆらし始めているところである。
この漫画はJFS(日本のNPO)が海外の読者に対して行った人気コンテストでNo.1となった作品である。
「環境を守ること」と「安全を守ること」は一見異なることと思われがちであるが、われわれの生活を守る上では同様な配慮が必要である。環境や安全を守るべき社会的なルールを一人でも無視して勝手な行動を起こすと社会に大きな影響を及ぼす。逆に言えば、われわれ一人一人が常に環境や安全に配慮して行動することで社会全体の環境や安全は保たれるのである。このイラストは、現実にはあり得ない構図であるが、環境x安全のテーマでわかりやすいのか、よく使われる作品です。

おわり
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