- 作者名(ペンネーム):
ハイムーン(High Moon)
- 本名:高月 紘(たかつき ひろし)
- 環境マンガ家(日本漫画家協会会員)
- 京エコロジーセンター前館長
- 京都大学名誉教授
- 専門:廃棄物工学、環境教育
ゴミック連載の一番最初の作品です。1982年10月のことです。当時、家庭ごみ中に急激に食べ物の容器包装材が増えてきたので、私たちのライフスタイルが変わってきたことを少しオーバーに表現してみました。
この漫画は筆者が乾電池の水銀問題に取り組んでいるときに描いた漫画である。したがって、テーブルの下で筒型乾電池のキリギリスが「スイギーン」「スイギーン」と鳴いているのである。環境問題はわれわれ世代だけの問題ではなくて、将来の世代の問題でもある。環境倫理でいう「世代間倫理」を表す漫画として活用していただきたい。
現代人は体を動かすことを嫌い、楽をしたいとのライフスタイルを選択する。そんな要望を背景に様々な自動化製品が出回ってきている。自動車、エスカレーター、自動ドア、リモコンなどなど、ちょっと手足を動かせば済むことをエネルギーを使って機械にさせている。自動化とは、人間にとっては不動化なのである。そして、退化かもしれない。
最近は環境問題の大切さがマスコミ等で取り上げる機会も多くなり、多くの人たちが頭の中では「エコな行動をとるべきである」と意識しているのであるが、実際の行動は相変わらず、便利さを優先する行動をとってしまう。例えば、ごみは「ちゃんと分別してリサイクルに」と思っているが、実際は面倒くさいので分別せずに出したり、「近くだから自転車で」と思っていても、実際はやはり便利なマイカーで出かけたりしてしまう。このように意識と行動の乖離をどのように防ぎ、つなげるかが環境教育においても大きな課題である。
イギリスで漫画展を開催したところ、何故か、この漫画が人気を博した。その訳を考えてみると、イギリスでは古くからの慣習で「午後の紅茶(アフターヌーン・ティ)」の時間を大切にしていたが、最近では、そんな習慣がすたれ、時間に追われる日々となったことに対して、反省の意味を込めて共感を得たのではないかと考えられる。この漫画では、お茶の時間は短縮されたが、その裏では沢山の資源とエネルギーが費やされていることを伝えたい。便利さの陰には常に資源やエネルギーの浪費がある。
カメラや時計などは、旧人類にとっては高級製品であったのですが、当節、使い捨てのカメラや、使い捨ての時計が登場し、新人類は電話もラジオも使い捨ての製品を惜しげもなく捨てるライフスタイルになりました。この作品は、1986年のものですが、その後、このライフスタイルは現在では当たり前になってしまいました。
ごみの中身を見ると、その人のライフスタイルがよくわかります。そんなわけで、手相ではなく、ごみでその人の人生を占ってみたらどうだろうか?と考えたのがこのマンガです。しかし、ごみの中身はその人のプライバシーにかかわりますので、機密保持の面で占い方法が難しいかもしれませんね。
私たちの身の回りの品で最も付加エネルギーの高いものは衣服である。イラストにもあるように単位重量当たりの製造エネルギーは、衣服は70Kcal/gで他の品物の5倍近くある。衣服は作られるまでに沢山の工程を経て、その都度沢山の手間とエネルギーがかかっているのである。したがって、衣服は資源・エネルギーの面では貴重品なのであるが、流行が変わったと言ってはまだまだ着れるのにいとも簡単に捨てられる。
ごみの中身を観察すれば、そのごみを出した人のライフスタイルが推察できます。例えば、即席ラーメンの容器やジュース缶などが多くて、野菜くずや魚の骨などが少ないとこの人は家であまり料理など作っていないのではないかと思ったり、まだ着ることができる衣服が惜しげもなく捨てられていたりするとこの人は流行のファッションを好むタイプでは・・・などと想像するわけです。ともあれ、ごみはそれを出した人が使ったものですから、当然、その人の生活スタイルを反映するわけです。ちなみに作者(ハイムーン氏)の研究テーマは「ごみとライフスタイルの関係」です。
人様に環境問題を説明すると、まるで他人事のような感じで聞いておられる方がおられます。地球の温暖化問題が今大変なことや廃棄物問題の深刻な状況を説明しても、自分とは関係ない遠い世界のことのように思っておられる雰囲気があります。こんな時、大切なことは、いかに聞き手に環境問題が自分に関係があることに気づいてもらうことです。すなわち、自分事としてとらえてもらうことです。
エコとエゴとは文字の上ではほんの少し違うだけです。英語でもecoとegoとは一字違いで非常に区別がつきにくい状態です。しかし、意味するところは、大きな違いがあります。エコは「環境に優しい」であり、エゴは「自己中心的」という、いわば真逆の関係と言えます。ところで、エコな人とエゴな人との見分けはできますか?外見上は見分けはつきにくいと思いますが、その行動を見れば、すぐわかります。そんなわけで、今回のゴミックはクイズ「ウォーリーを探せ」風の作品にしてみました。
「エシカル」 とは、直訳すると「倫理的な」という意味です。一般的に理解されている「倫理的な」こととは、法的な縛りはなくても、多くの人が正しいと思っていることで、本来人間が持つ良心から発生した社会的規範です。具体的には、地球環境や人、社会、地域に配慮した考え方のことを指します。とりわけ、ここ最近日本ではエシカルな考え方に基づく消費、「エシカル消費」が注目され始めています。この考え方はSDGsにも通じるところがあり、従来の消費者運動より、より広い視点での活動である。
京都市が2017年12月に「持続可能な都市文明の構築を目指す京都宣言」を行ったときに、2050年の世界の都市のあるべき姿を描いたイラストである。キーワードとしては自然との共生、「もったいない」や「しまつ」の精神のある生活文化などをイメージした。
我々は、これから、アフターコロナの社会にどのように進めばよいのでしょうか?当然ながら、これまでの資源やエネルギーの浪費型の社会から脱却することが求められます。そこで、注目されるのがグリーンリカバリーです。すなわち、環境重視型の復興計画です。具体的には、脱炭素社会、SDGsの推進、生態系の保全、感染症対策を見据えた公衆衛生の充実などのキーワードが挙げられます。これらのグリーンリカバリーを行うことによって、まさに持続可能な社会が実現することができるものと思われます。
おわり
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