自然界では、地上の生物は、動物であれ、植物であれ、一生を終えれば、彼らの遺体は土壌微生物の働きによって、分解され、次の生物の栄養源として活用される。すなわち循環する生態系が形成されている。その意味では生態系にとっては不要な廃棄物というものは存在しないと言える。しかし、人間という生物は自然の生態系になじまないプラスチックや有害化学物質を大量に自然界に排出している。これこそ、人間が作り出した廃棄物である。

この漫画のキャプションは「塵(じん)類の誕生」で、日本語の言葉あそびがなされている。したがって、外国人にはあまり受けないかなと思っていたが、意外にも海外の読者からも人気の高い漫画である。「人間はごみを造る動物である」というストレートなメッセージがわかりやすいと評価されたと思われる。
数多いゴミックの中で最もよく活用されている漫画の一つである。街に溢れる使い捨て商品を一生懸命回収し、リサイクルして元に戻している状況の中で、ある人が蛇口を指さして「元栓を閉めた方が早道ではないか?」と叫んでいる場面である。まさに「そのとおり」であり、蛇口を開きっぱなしで、溢れくる品物をいくら元に戻しても状況はよくならない。リサイクルだけでは廃棄物問題は解決できない、やはり上流対策が必要性であることを端的に表現した漫画である。
前作の元栓を閉めると対をなす漫画である。アルミ缶はリサイクルできる。ペットボトルもリサイクルできる。トレーもリサイクルできる。牛乳パックもリサイクルできる。ということで次々とリサイクルできるからと使い捨て製品が市場に出回ると、結果的には大リサイクル社会が形成されだけで資源の浪費には歯止めがかからない。リサイクルだけでは廃棄物問題の根本的な解決にはならないのである。
これまでの日本の廃棄物対策は適正処理を優先し、増加する廃棄物に対し次々と焼却処理施設を建設して対応してきた。しかし、これではこれまでの大量生産、大量消費、大量廃棄の流れは止められない。やはり、上流対策を含めた根本的な廃棄物対策が必要である。洪水対策としての河口堰の是非を問うた吉野川の河口堰問題にヒントを得た漫画である。
ゴミックでは時々ごみ袋姿のごみが擬人化されて登場します。このイラストでは、ごみ減量の体験談が語られています。肥満のごみさんの椅子が重さに耐えかねて壊れている場面はマンガチックですね。
世の中、やっと分別収集が始まり、まずは「燃えるごみ」と「燃えないごみ」の分別が普及し始めたころの作品である。不燃物の収集日に札束の入った燃えるごみが排出され作業員が札束には目もくれず収集不適物として排除しているところである。一種のナンセンス漫画であるが、何故かフランスのジャーナリストに受けて、フランス語の雑誌に紹介された。漫画の世界ではフランス人のエスプリが群を抜いている。京都にある国際漫画ミュージアムでも来館の外国人の比率も圧倒的にフランス人が多い。
巨大なごみ収集車に巨大な清掃工場が整備され、少々ごみが増えても、適正処理の体制は揺るがない、この都市では「ごみの減量」という声はほとんど聞かれない。やや、ブラックユーモアのごみ漫画である。
現在、多くの都市でごみの有料化の議論がされている。多くの市民は、これまで、ごみは収集日に指定場所に出せば「ただ」で処理してくれると思っていが、ごみの有料化導入ではじめてごみには処理費が必要なんだと、ごみに関心を持ち始めたところである。現在有料化を導入した自治体での有料化料金は一袋当たり30~40円程度である。しかし、実際にごみ処理に要する経費は一袋あたり、大都市では200円近くかかっているのである。その費用は税金で賄われているのである。税金の有効利用のためにも、ごみの減量は大切なのである。
リサイクルは廃棄物を回収し、それを原料として資源化し、そして有効利用をして初めて成立するものである。しかし、当初はリサイクルに関しては分別し回収する入口のプロセスばかりが注目され、なかなか有効利用という出口のプロセスの進まず、結果的に回収された廃棄物の行き先がない状態が生じてしまっていた。リサイクルは常にその受け皿を考慮して進める必要がある。
現在、日本では万国博覧会の企画が検討されているようですが、一つの企画として世界ごみ博覧会を催してはいかがでしょうか?ごみこそ、その国の生活様式を見事に反映していると思うのですが・・・残念ながらこの企画にはスポンサーはつかないでしょうね・・・
これからの廃棄物対策で非常に重要な「製品アセスメント」に関するイラストである。これまでの廃棄物対策は、排出された廃棄物をどのように適正処理するかが主題であった。その際、処理する側には廃棄物となった製品についての情報(材質、有害物質、分解方法など)はほとんど提供されない状態で処理が行われ色々と問題が生じてきた。そこで、製造段階で、その製品がどのように処理されるかを理解した上で、処理しやすい製品設計をすれば、より適正な処理が可能になると考えられる。このように製品が廃棄物になることを事前に評価(アセスメント)して製品設計することを「製品アセスメント」と言い、このコンセプトを廃棄物対策に導入すれば、廃棄物処理において環境負荷が大きく改善される。このイラストは上流側(製造者)が廃棄物処理の仕組みを学んでいる場面である。
3RすなわちReduce(リデュース、発生抑制)Reuse(リユース、再使用)Recycle(リサイクル、再資源化)については循環型社会形成推進法の中で優先順位が定められている。その優先順位をオリンピックになぞらえて、金メダルはReduce, 銀メダルはReuse, 銅メダルはRecycleと描いてみた。3Rの説明に、わかりやすいのでよく使用されるイラストである。
ごみは最初からごみではない。ごみのもとは色々な製品、商品である。そして、その製品のもとはさかのぼればすべて地球の貴重な資源やエネルギーで作られたものである。したがって、ごみを減らすことは取りも直さず地球の資源やエネルギーを節約することにつながるのである。この当たり前のことをイラストで示したものであるが、ごみの減量の意義を説明するのにわかりやすいのでよく活用されている。
ごみの中身を観察すれば、そのごみを出した人のライフスタイルが推察できます。例えば、即席ラーメンの容器やジュース缶などが多くて、野菜くずや魚の骨などが少ないとこの人は家であまり料理など作っていないのではないかと思ったり、まだ着ることができる衣服が惜しげもなく捨てられていたりするとこの人は流行のファッションを好むタイプでは・・・などと想像するわけです。ともあれ、ごみはそれを出した人が使ったものですから、当然、その人の生活スタイルを反映するわけです。ちなみに作者(ハイムーン氏)の研究テーマは「ごみとライフスタイルの関係」です。
最近は、ごみ問題を取り上げると、「リサイクル!」「3R!」が叫ばれます。しかし、もともとは、都市におけるごみ処理の原点は公衆衛生上の必要性からの「衛生処理」にありました。その意味で、ごみ処理はまずは衛生的な処理が大前提であり、そのことが確保された上での「3Rの推進」であるべきです。
ごみの減量に最も効果があるのは、そもそもすぐごみになる使い捨ての商品を購入しない、使わないことです。英語で「ごみ」を意味するRefuseという言葉がありますが、皮肉なことに、このRefuse のもう一つの意味は「拒否」です。まさに、究極の発生抑制は「拒否すること」なのです。
私たち現代人は、常に「もっと便利に!」「もっと、らくに!」「もっと、安く!」を願って、生活をしている。結果的には、沢山の使い捨て商品を廃棄して、ごみを増やし続けている。このイラストは、豊中・伊丹のクリーンランド(清掃工場)で、動画として活用されて、見学者に紹介されている。
廃棄物分野では循環型社会を目指して、3Rの推進が叫ばれていますが、当節、3Rの中で、優先順位は1位がリデュース(減量)であり、次いでリユース(再使用)となり、リサイクル(資源化)は重要ですが、順位的には低くなります。イラストでも示すように、まずは食品ロスをなくす、レジ袋の使用を減らすなどのリデュースの取り組みが優先され、次いで、リユース食器の使用やレンタル・リースの活用などのリユースの取り組みが求められます。いまや、時代は2R、すなわちリデュース、リユースの時代なのです。
空港で搭乗する際に、荷物検査が行われますが、それをイメージした分別判定機を描いてみました。実際のごみ収集の現場では、ごみステーションの立ち合い住民や収集職員による目視による判定が行われますが、ごみ袋の透明度がプライバシーの問題で物議を醸しだしています。
皆さんはごみを出すとき、どんな意識でごみを出されますか?このマンガでは、ごみを大切に扱いながら出す人、ごみが多いので、周りを気にしながら出す人、まるでごみを汚物のように素早く排除しようとする人、様々なスタイルが見られます。しかし、ごみは私たちの生活に深く関わったものです。今一度、ごみを通して私たちの生活を見直したいものです。
地方自治体は家庭ごみの処理の責任があります。最近は家庭ごみの処理については分別回収など市民一人一人の理解と協力が不可欠です。そこで、行政側はごみに関して、市民との対話(コミュニケーション)の機会を求めて様々な取り組みが行われるようになりました。ごみに関して対話集会を催すと話が途切れることはありません。このマンガでは、ごみ処理担当職員と市民との対話にごみ袋やペットボトルなども参加してにぎやかなことです。
おわり
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