絵コロジー4-6「自分だけ汚れない・・・」

我が国の環境基準は環境汚染物質が人間に健康被害を及ぼすか否かを医学的見地から判断するために環境における濃度を定めたものではなく、あくまでも行政的に守るべき汚染物質の濃度と言われている。しかしながら、環境基準は一般的にはこの基準を守ればわれわれの健康が保たれると思いがちである。確かに、環境基準には人間への健康被害が及ばないように汚染物質の濃度をコントロールしようとする意図がある。そんなわけで環境基準はあくまでも人間を保護するための基準である。ところが、汚染物質によっては人間にとってはさほど影響を及ぼさないが、ある生物種にとっては、決定的なダメージを与えるものがある。そうなると、人間だけは守れても生態系が健全に保てない状況が生じる。そこで、最近では、環境基準を人間だけでなく生態系への影響を考慮したものに見直すべきだとする動きがでてきている。