ゴミック新作集2-9 付喪神(9-42)
京の都には、古くなって捨てられた道具や器などが「付(つく)喪神(もがみ)」という妖怪になって、夜中にぞろぞろと行進する「百鬼夜行」という伝説があります(百鬼夜行絵巻は大徳寺真珠庵所蔵)。この話の背景は、捨てられた道具たちが、物を大切にしない人間に腹をたてて妖怪に変身し、反乱を企てたということだったようです。
さて現代の付喪神はどうでしょうか? どうやら、続々と新しい妖怪が登場しているようです。なにしろ、最近は道具類のモデルチェンジはますます早くなっているからです。
特に、昔ながらの木、紙、土といった自然素材でできた道具や器が石油製品のプラスチックに変わってきているのが目立ちます。また、寿命の短い使い捨て型の製品も増えてきているようです。できれば、京の文化の中で息づいてきた伝統工芸品ともいえるエコな道具や器を、大切に守り、長く愛用して、その付喪神たちを穏やかに成仏させたいものです。