京都新聞エコロジー 49

東京五輪契機に 屋内全面禁煙を

   現在、国では受動喫煙の防止に向けた健康増進法改正案が議論されています。受動喫煙(他人のたばこの煙にさらされること)が健康に悪影響を及ぼすことは、科学的にも明らかにされています。厚生労働省の推計によれば、日本では毎年1万5千人が受動喫煙で亡くなっているとのことです。たばこの煙害は環境汚染の最たるものです。

 ところで、日本人でたばこを吸う人は年々減ってきていますが、それでも成人男性の喫煙率は33.7%(2015年・世界保健機関調べ)で、先進国では最も高い状態です。さらに、これまでのわが国の受動喫煙対策は国際基準に照らしても、非常に遅れています。先進国の中で、屋内が全面禁煙でないのは日本ぐらいです。欧米諸国はもとより、韓国も中国も法的な規制を強化しています。

 そこで今回の改正案に期待していたのですが、厚労省が提出した案は、小規模な飲食店では「喫煙」や「分煙」と表示すれば喫煙を可能とする内容のようです。この際、東京オリンピックを契機に、屋内全面禁煙に踏み込んでもらいたいものです。

 

            (高月紘・京エコロジーセンター館長)