京都新聞エコロジー56

 温暖化「緩和」策こそ重要

 地球温暖化問題への対応策には、「緩和」策と「適応」策があります。緩和策は温暖化の原因である温室効果ガス(CO2など)の排出量を抑制し、温暖化の速度を緩やかにする対策です。具体的には、化石燃料に頼らない再生可能エネルギーを導入したり、省エネを推進する方法があります。

 一方の適応策は、現状では温暖化は避けられないので、気候変動の被害をできるだけ少なくする対策です。具体的には、高温でも耐えられる作物へ品種改良すること、渇水や水害、高潮などに備えた防災機能を強化すること、熱中症の予防・対処を図ることなどが考えられます。

 現在、日本の環境省はこの適応策を推進するよう強く求めています。適応策は大切ですが、しかし、それだけでは温暖化の問題は解決できないのではないでしょうか?

 やはり、そもそもの原因物質である温室効果ガスの排出を強力に削減することが、最も重要だと思います。そして各国と協力して、せっかくできたパリ協定をさらに前進させることを願いたいものです。

 

               (高月紘・京エコロジーセンター館長)