京都新聞エコロジー 58

 農家が土で作った食料を大事に 

  最近、農業の担い手不足を背景に、農業用機械の自動運転化の開発が進んでいるようです。

 すでに、自動車の自動運転技術は実用化に向けて、各メーカーがしのぎを削っていますが、農業用機械の自動運転が実用化されれば、例えば上のイラストのように、田植え機やコンバインなどがドローンに誘導され無人運転されている風景が、近い将来見られるかもしれません。

 しかし、この光景はあまりにもわびしい農作業のように感じます。何といっても、お百姓さんの姿が見えないのは寂しい限りです。また、最近では野菜工場も出現し、土壌なしでも野菜の収穫が行えるそうです。こうなると、農業のありかた自体が問われます。

 本来、農業は人が土を耕し、太陽や水の恵みを受けて農作物を育てる営みのはずです。

私たちは、自然の循環の中で、人が気持ちを込めて作った食料で生活したいものです。その意味で、人や土から離れた農業が進むのは、やはり考えものですね。 

 

                   (高月紘・京エコロジーセンター館長)