ゴミック新作集2-4 嗚呼、豊島事件・・・(9-4)

瀬戸内海の小豆島の近くに存在する豊島(てしま)で起きた有害廃棄物の不法投棄事件はイラストで示した年表でもお分かりのようにその解決に向けた取り組みには長い道のりがありました。そして、実はまだ解決に至っておりません。筆者も1993年から、国の公害等調停委員会の専門委員として、この事件に関り、いまだに現地へ頻繁に訪れて、県(香川県)と住民との話し合いに参画しています。そもそも、豊島事件は小さな豊島という島に全国からシュレッダーダストと呼ばれる車の解体くずが大量に持ち込まれ、地元住民が県を相手に公害調停を申請して社会問題として注目された事件です。この事件を契機に、国もシュレダーダストの有害性を考慮して廃棄物処理法の改正や不法投棄に対する資金対策などの制度を設けるなどが行われました。また、公害調停を通じて、廃棄物問題における行政と住民との合意形成のあり方についても種々の取り組みが試みられました。その意味では、わが国の廃棄物対策ではこの豊島事件から学ぶ様々な教訓があるように思えます。