京都新聞エコロジー 61

流通見直し 消費者も検討を

 わが国で発生する食品ロスは、農水省の調べでは年間500~800万トンと推定されています。食品ロスといえば一般家庭で発生する「食べ残し」をイメージしがちですが、実は発生量の半数以上は流通過程からといわれています。

 まず食品の製造工程では、原材料から規格外や成型時の端材が食品ロスとして発生します。在庫管理において期限切れで処分するのも食品ロスです。次の販売過程では、販売量予測のずれが売れ残りとして食品ロスを生みます。日本の商習慣である3分の1ルール(製造日から賞味期限までを納品、販売、賞味の各期限に3等分する)に基づく食品ロスもあります。

 現在の日本の食品流通はあまりにも消費者ニーズに合わせ過ぎているようです。必要なものを、必要な時に、必要なだけ常に供給することを優先させると当然、製造も販売も過剰に製品を用意することになり、ロスが生まれます。われわれ消費者も原点に戻り、食料の大切さについて見直し、過剰な食品流通を改める方策を検討すべきだと思います。

 

               (高月紘・京エコロジーセンター館長)