京都新聞エコロジー15

⑮ 2016年11月 4日付

多様な命 触れて学ぶ機会を

「異次元」の生き物怖い?

 最近、都会の子供たちの中には極端に虫を怖がる子がいます。小さい頃から、昆虫などを

見たり触れたりする機会がほとんどないまま育ってきたので、虫が目の前に現れると、まるで異次元の生物に会ったように恐怖を覚えるようです。

 さらに、大人の中にも、アリや蛾(が)を見つけると大騒ぎをして、やたらに殺虫剤をまき散らす人がいます。日ごろ、昆虫などいない世界で生活しているので、私たち人間が昆虫たちと共存しているという意識はどんどん希薄になってきているようです。

 しかし、私たちは昆虫も含めた多様な生物で構成される生態系の中で生かされていることを忘れてはなりません。昆虫がいなければ植物や野生動物も育ちません。また、昆虫や土壌生物がいて自然界のサイクルが成り立っているのです。

 その意味でも、私たちは、もっと自然の生態系の大切さや、生物多様性の重要さを理解する必要があります。そして、子どもたちには、小さい時から生態系の仕組みを体験学習する機会を提供する必要があります。

                          (京エコロジーセンター館長)