京都新聞エコロジー 62

脱炭素社会へ企業や自治体 意欲

 脱炭素社会の実現を目指す「パリ協定」が成立し、国家政府以外の多様な主体の役割が注目されています。米国ではトランプ政権がパリ協定離脱方針を表明したことに対し、企業、州政府、自治体、NGO(非政府組織)などが「パリ協定を支持するネットワーク」を設立しました。他の国々でも国家政府以外のさまざまな団体などが横断的な組織をつくる動きがあります。

 日本でも最近、企業や自治体など約100団体によって「気候変動イニシアティブ」が設立されました。この組織には、産業革命時期比の気温上昇を2℃未満にするための削減目標(SBT)や再生エネルギー100%(RE100)を掲げる企業のほか、温暖化対策に熱心な東京都や京都市などの自治体も参加しています。また、持続可能な開発目標(SDGs)活動に取り組むNGOも参画に意欲を持っています。

 これらの動きに特徴的なことは、脱炭素社会などの目標を掲げ、そのゴールを目指すために何ができるかを検討する、いわゆる「バックキャスティング」の取り組みです。

私たち市民も、このような国家政府以外の取り組みにも興味を持って参画したいものです。

 

               (高月紘・京エコロジーセンター館長)